2016年09月27日

PCバックアップのススメ (1/2)

PCに保存されているデータ(以下、PCデータ)は企業の貴重な知的財産です。
そして、常に操作ミスやシステム障害により消失する脅威の備えが必要です。
PCデータの消失は、PC利用者の業務効率を大きく低下させ、場合によっては大切なお客様情報を失うことにもなり、企業の信用低下を引き起こす原因ともなります。
そのため、万一の場合を想定し、いつでもPCデータを復元可能なバックアップの実施が重要です。

しかし、企業におけるPCバックアップの実施比率は、サーバに比べて非常に低いと言われ、多くの企業はPC利用者の個人任せになっているか、バックアップされていない状況です。
特に中小企業では、社員のPCに重要データが格納されている場合が多く、PCバックアップの必要性が高いにもかかわらず、運用にかかる作業負荷やコスト面で、導入が進んでいないのが現状です。

今回は、PCデータのバックアップに取り組む中小企業のシステム管理者向けに、バックアップの実践方法をご紹介します。

1.PCバックアップとは?

PCバックアップとは、クライアントPCにシステム障害や操作ミスによるデータ消失が発生した場合に、データを元の状態に復元することができるよう、別のストレージ上にデータの複製を保管しておくと同時に、バックアップされたデータをいつでも復元できる状態としておくことです。

2.PCバックアップは何故必要か?

以下のような場合、PCバックアップは非常に有効です。
・HDDトラブルによるデータ損失
・操作ミスによるデータ削除(誤ってデータを削除)
・OSやアプリケーションによるデータ破壊
・震災、災害等によるデータ損失
これらの場合、バックアップが適切に行われていればデータを復旧でき、ビジネス機会の損失を最小限に抑えることが可能です。

PCには、メールや報告書、提案書、ビジネス情報など企業活動そのものとも言える貴重なデータが保存されていて、PCデータの損失は企業活動に大きな影響を与えます。
そのため、常に最新データのPCバックアップの実施が重要で、企業は、PC利用者任せのバックアップではなく、自動PCバックアップの導入が必要です。

PCに保管されているデータは、PC利用者個人のものと思われがちですが、紛れもなく企業の貴重な知的財産であり、そのデータを保護するバックアップ体制の構築が必要です。

3.バックアップが必要なファイルとは?

PC上の各ファイル群について、バックアップの必要性を検討する必要があります。
ここでは、ファイルの種類毎に万一のファイル消失が発生した場合に、ファイル復元の可否について説明します。

 種類 バックアップの必要性の説明
 システム  システムは、OSのリカバリーCD(メーカーの工場出荷時にHDDに格納されている機種もある)があれば、バックアップがなくても復元可能であり、クリーンな環境を再構築可能です。
システムのバックアップを行う場合は、OS起動中は通常の手段ではバックアップが行えないため、専用のバックアップツール(HDDを丸ごとバックアップできる製品)が必要です。この場合、万一のHDDトラブル時は、バックアップからシステムを含むHDD全体を復元します。その際、不要な一時ファイルや長年の使用で部分的に破壊されている可能性のあるレジストリなども同時に復元されます。
 プログラム  各種アプリケーションソフトのCDやインストーラモジュールが保管・管理されていれば、再度インストールすることにより復元が可能です。また、フリーソフトなどは、再度ダウンロードすることにより復元が可能です。
確実な復元のため、アプリケーションソフトのCDやインストーラモジュールの管理が重要です。
 ドキュメント  必ずバックアップが必要です。バックアップがない限りデータの復元は不可能です。
 デスクトップ  必ずバックアップが必要です。バックアップがない限りデータを復元は不可能です。但し、アプリケーションソフトの起動のためのショートカットアイコンなどは、アプリケーションソフトの再インストールの際に復元されます。
 PCに保管されているメールデータ  必ずバックアップが必要です。バックアップがない限りデータの復元は不可能です。バックアップサーバにも一部のメールデータが保管されていますが、通常は直近の数日分のみが保管されているだけです。
 アプリケーション用データ  利用しているアプリケーションによってはバックアップが必要です。基本的にはアプリケーションソフトの再インストールにより復元が可能ですが、アプリケーションによってPC利用者が作成したデータが保管されるものもがあり、その場合はバックアップが必要です。
不明な場合は、アプリケーションソフトのマニュアルやベンダーへご確認下さい。
 その他  利用しているアプリケーションソフトによっては、特殊な場所にデータが保管される場合があり、その保管場所のバックアップが必要となる場合があり注意が必要です。

PC利用者が作成したデータは必ずバックアップを実施する必要があります。
但し、バックアップサーバの容量制限やバックアップに費やせる時間の制限もあります。コストや時間をいくらかけてもよい場合は全てのPCのHDDを丸ごとバックアップしておけば安心ですが、必要最小限としてバックアップが無ければ復元が不可能となるデータのバックアップは必須です。

長くなりましたので、今回はここまでとさせていただきますね。
次回は、「バックアップの実行方法」、「バックアップデータの復元方法」について解説いたします。